BOOKNERD
登録日:2026年04月08日
ジョージ・ネルソンに沈む午後。店主の偏愛が詰まった洗練の空間
盛岡駅を出て、橋を渡り、赤レンガ館の横を抜けると、だんだんと自分がどこにいるのか分からなくなってくる。
え、ここ曲がるんですか? え、ここ進むのであってますか? そんな不安な気持ちで細い道を進むと、ひっそりと佇んでいるのが〈BOOKNERD〉だ。
木目が優しい本棚が壁に沿って立ち並び、見た目より遥かに多くの本が、ずっしりと詰め込まれている。
決して広くない店内なのに、こんなに置けるのかと思うほどだ。文庫本のシンプルな背、さまざまな判型のZINE、料理本、画集、写真集。タイトルを追うだけで、自然と足が奥へ奥へと進んでしまう。
店主の早坂大輔さんは「本オタク」を自認する、ひとりで営む書店人だ。
その選書には不思議な力がある。どんな人が訪れたとしても、必ず1冊は気になる本が見つかるような人懐こさがある一方で、東京でも買えないような本も並んでいる。シティボーイ的な嗜好と、ディープな知識欲。その両方を絶妙なバランスで成り立たせている。
レジで会計をするとき、早坂さんが「この本いいよね」と話しかけてくることがある。観光客なら「お昼なに食べてきたんですか」と聞いているかもしれない。
小さな店だから買わなきゃという妙な緊張感は無く、ここには「どうぞ好きなように本を手に取ってみてね」という空気が流れている。
イベントやポップアップのブッキングもぐっとくるものばかり。
学生の時にこの店があったらよかったのに、と欲張りな気持ちになるくらいだ。盛岡というこの街は、BOOKNERDがあるからいい街なのだと思う。